第23回参議院議員通常選挙における兵庫県内の立候補予定者への「公開質問状」回答(7月17日更新)公益社団法人兵庫県聴覚障害者協会
聴覚障害者制度改革推進兵庫本部は2013年6月21日、24日付で、兵庫県内の立候補予定者(6月21日現在)に【障害者福祉施策に関する公開質問状】を提出しました(締切日は7月18日(木)です)。立候補予定者から回答をいただき次第、当ページに掲載し、更新しています(空白は回答待ちです)。また、後日立候補を表明した1名にも7月5日付で同様の内容の公開質問状をお送りしています。
聴覚障害者福祉政策に関する公開質問状(聴覚障害者制度改革推進兵庫本部)はこちら(PDFファイル)
送付した立候補予定者と回答日
立候補者名 | 政党名 | 回答日 |
金田 峰生 | 日本共産党 | 6月28日(金) |
鴻池 祥肇(よしただ) | 自由民主党 | |
湊(みなと) 侑子 | 幸福実現党 | |
松本 なみほ | 緑の党グリーンズジャパン | |
辻(つじ) 泰弘 | 民主党 | 7月17日(水) |
清水 貴之 | 日本維新の会 | |
下村 英里子(えりこ) | みんなの党 | (送付日:7月5日) |
1.障害者総合支援法について
障害者福祉は利用者負担なしで、全国共通の仕組みを作るべきだと思います。この度、成立した障害者総合支援法には「意思疎通支援事業(旧コミュニケーション支援事業)」が含まれましたが、地域間格差や不十分な予算措置等の問題は依然として残ったままです。障害者総合支援法は施行後3年以内に検討事項と附帯決議の具体化を決めています。今後の障害者総合支援法の見直しや拡充に対してどのようにお考えでしょうか。
金田 峰生 | 「総合支援法」は、「自立支援法」の看板を替えただけで、「応益負担」などの根幹部分を残したもの。応益負担はすみやかに廃止すべき。すべての障害者の権利を保障する障害者権利条約の理念に沿って、法を抜本的に見直すべき。さらに「自立支援法」違憲訴訟原告・弁護団と政府が締結した「基本合意」に基づき当事者の参加でつくられた「骨格提言」を生かした新法の制定が必要。 |
鴻池 祥肇 | |
湊 侑子 |
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松本 なみほ | |
辻 泰弘 | 1.成立した障害者総合支援法は、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会の骨格提言を踏まえ、段階的・計画的にその実現を図るものである。当初段階で残念ながら盛り込めなかった項目についても、次回の法改正時に可能な限り盛り込むことを検討すべきである。 |
清水 貴之 |
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下村 英里子 |
2.障害者総合支援法における都道府県・市町村等の意思疎通支援事業について
今回、厚生労働省の補助事業として、厚生労働省と全日本ろうあ連盟をはじめとする関係者等で協議を重ね、意思疎通支援者の派遣に係るモデル要綱およびガイドラインを作成しました。しかし、「手話通訳設置事業」については、すでに多くの都道府県が行っているにもかかわらず、都道府県の必須事業とはなりませんでした。また、設置される手話通訳者の身分、労働条件等が市町村によって異なっている状況です。その現状と照らし合わせ、施行後3年以内の見直し検討に向けて、手話通訳者および要約筆記者の養成・認定事業や設置事業、そして盲ろう者通訳・介助者の養成、派遣事業のモデル要綱およびガイドラインを作成していく必要があります。これについてどのようにお考えでしょうか。
金田 峰生 | 居住場所によって聴覚障害者の権利保障に格差が生じることがないように国の制度として位置付けて「意思疎通支援事業」の拡充をすすめる。利用料を無料化し、必要とするすべての人に意思疎通支援事業を提供できるようにする。手話通訳者等へ高い専門性に見合った身分保障が必要。そのために自治体任せではなく国が財源保障を行う。 |
鴻池 祥肇 | |
湊 侑子 |
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松本 なみほ | |
辻 泰弘 | 2.意思疎通に関する支援は重要であり、必須事業化に不安を持つ都道府県に対する理解促進を進めるべき。 |
清水 貴之 |
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下村 英里子 |
3.行政サービスのアクセシブルな利用について
身体障害者手帳を持たない聴覚障害者、聴覚に障害のある者と意思疎通の必要のある者など、誰もが自由に利用できる制度には至っておりません。また、聴覚障害者が自分の希望するコミュニケーション手段を使ってのサービス提供を受けるに至っていない現状があります。国民である以上、障害の有無にかかわらず行政のサービスを受けられるべきであり、それを提供する義務が行政機関にはあると考えます。例えば、情報アクセスのバリア解消のため、都道府県市町村の福祉事務所等に手話で相談できるケースワーカー等の相談員の配置や地方自治体の窓口における筆談対応の職員研修、手話のできる職員の配置等を推進する必要があります。行政機関のアクセシブルな利用促進についてどのようにお考えでしょうか。
金田 峰生 | 障害の有無にかかわらず行政サービスを提供できるよう、手話等のできる職員配置などをすすめることは行政機関の当然の責任。「公務員削減」はそのことに逆行するもの。 |
鴻池 祥肇 | |
湊 侑子 |
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松本 なみほ | |
辻 泰弘 | 3.行政機関のサービス提供が全ての国民に担保されるべきとの指摘は同感で有り、障がいのある人のニーズを踏まえ、障害種別や程度、年齢、性別を問わず、難病患者も含めて、安心して地域で自立した生活ができるよう、しくみづくりや基盤整備、人材育成に取り組むべき。 |
清水 貴之 |
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下村 英里子 |
4.インターネット選挙運動(以下、「ネット選挙」とする)について
4-1)今春の法改正でネット選挙が認められるようになって、初めての国政選挙となります。これまで、FAXやメールでの選挙運動等は認められなかったことを鑑みると、選挙に関するアクセシビリティとしては大変有効であると考えます。しかし、電話の出来ない聴覚障害者の候補者がFAXやメールで投票依頼をすることは現在も認められておりません。上記について、どのようなご見解をお持ちですか。
4-2)障害者総合支援法の意思疎通支援事業において、自治体の裁量で、選挙や政治活動への手話通訳および要約筆記の派遣が可能となりましたが、自治体の派遣要綱では派遣を不可とするところが多い現状にあります。上記についてどのようにお考えでしょうか。
金田 峰生 | (1)ファックスやメールでの投票依頼を認めるべき。 (2)積極的に派遣すべき。 |
鴻池 祥肇 | |
湊 侑子 |
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松本 なみほ | |
辻 泰弘 | 4-1)今回の公職選挙法改正はインターネット選挙の解禁を行う画期的なものであるが、テクニカルな問題も含め、様々なトラブルも懸念されている。選挙権・被選挙権という国民の人権の根幹に関わる問題でもあり、皆様の思いを受け止めつつ、一歩一歩、施策の前進を図るべきである。 4-2)各自治体段階では人材不足や予算面の制約等もあって事業の具体化が行われていないならば、極めて残念である。国としての更なる支援を検討すべき。 |
清水 貴之 |
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下村 英里子 |
5.政見放送への手話通訳・字幕付与の義務化、選挙時の情報保障について
5-1)別紙の通り、政見放送への手話通訳・字幕付与について、衆議院・参議院共に統一されておりません。 同じ国民でありながら候補者を選ぶ権利、参政権を行使するための情報の入手が制限されている状況を、どのようにお考えか、見解をお聞かせ下さい。
5-2)また、このたびの選挙において、政見放送、個人演説会、選挙公報など政見を訴える場面において、手話通訳、字幕、要約筆記、盲ろう者向け通訳・介助等の聴覚障害者・盲ろう者に対する情報保障を実施されますか?
金田 峰生 | (1)参政権行使に格差が生じることは問題。政見放送に手話通訳・字幕付与を義務づけ、国は手話通訳者等の育成等にとりくむべき。 (2)実施する |
鴻池 祥肇 | |
湊 侑子 |
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松本 なみほ | |
辻 泰弘 | (記載無し) |
清水 貴之 |
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下村 英里子 |
6.障害者差別解消法について
本年4月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が国会に提出されました。障害者差別解消法における、情報アクセスやコミュニケーションの保障への「合理的配慮」、紛争解決にあたる機関の在り方等についてどのようにお考えでしょうか。
金田 峰生 | 「障害者差別解消法」は、障害者の切実な願いを踏まえて暮らしを一歩でも前進させるものではあるが、差別についての定義が不明確で、「合理的配慮」についての規定も不十分。「必要かつ合理的な配慮」は障害者権利条約の合理的配慮と同様であること、合理的配慮の不提供が差別であることなどを明記し、事業者による合理的配慮の提供を「努力義務」でなく「義務」とするなどの見直しが必要。紛争の解決や救済のしくみは、法の施行状況や差別事例の分析を通じて実質的な救済のためのしくみの創設・拡充をすべき。 |
鴻池 祥肇 | |
湊 侑子 |
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松本 なみほ | |
辻 泰弘 | 6.「障害者差別解消法」の成立に当たっては、民主党が主導的な役割を果たした。「合理的配慮」の不提供については「差別」であり、未然の防止策という観点からはガイドラインにおける事例周知を積極的に行うべき。また、紛争解決にあたる機関については、法第14条に「国及び地方公共団体は相談、紛争防止のための体制整備を図る」と規定されており、政府の基本方針に具体的な内容をしっかりと明記すべき。 |
清水 貴之 |
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下村 英里子 |
7.障害者雇用促進法改正法について
本年4月、「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」(障害者雇用促進法改正法案)が閣議決定、国会に上程されましたが、日本における企業の法定雇用率に対する取組みや、ハローワークにおける手話協力員制度および雇用・労働分野における聴覚障害者専門の相談支援のための職場適応援助者(ジョブコーチ)事業を拡充させるためにどのようにお考えでしょうか。
金田 峰生 | 実雇用率はたいへん低く、向上のために、大企業にたいする法定雇用率の遵守の徹底、障害者を雇用する中小企業への助成、さらに法定雇用率の引き上げなどの取り組みが求められると考える。手話協力員制度やジョブコーチは、人員体制の拡大や養成への国の財政支援などの拡充の取り組みが必要。 |
鴻池 祥肇 | |
湊 侑子 |
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松本 なみほ | |
辻 泰弘 | 7.「障害者雇用促進法改正」は、民主党政権時にアウトラインが立案されており、成立に向けた中心的な役割を民主党が果たした。ジョブコーチなどの人材育成は、改正法が適切に機能するための「肝」であり、国策として取り組むべき。 |
清水 貴之 |
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下村 英里子 |
8.情報・コミュニケーションを保障する法律・制度の必要性について
障害者福祉以外に医療、福祉全般、教育(高等教育含む)、司法、就労、放送・通信など社会のあらゆる分野で障害者の情報アクセスやコミュニケーションを権利として保障する法制度は、すべての障害者の生命や社会参加を保障するという重要性にも関わらず、確立していません。情報アクセシビリティを確立させる為の環境整備(機器・システム・サービスの標準化・規格化、放送・映像への手話通訳および字幕の付与等)を諮るとともに、情報アクセスやコミュニケーションを保障する法制定に向けて、どのようにお考えでしょうか。
金田 峰生 | アクセシブルな情報通信技術の調達を政府に義務づけるとともに、「新技術」の開発段階からの障害者の参加保障など、情報アクセスやコミュニケーション保障に向けた法整備を検討すべき。 |
鴻池 祥肇 | |
湊 侑子 |
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松本 なみほ | |
辻 泰弘 | 8.障害のある人もない人も共に生きる共生社会を早期に実現することが大切。先ずは、「国連障害者権利条約」の批准に全力を尽くすべき。 |
清水 貴之 |
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下村 英里子 |
9.聴覚障害者情報提供施設について
身体障害者福祉法に定められている聴覚障害者情報提供施設の予算措置については都道府県又は指定都市が行う補助事業になっています。地域によっては、県レベルで1カ所設立では聴覚障害者の利便性に欠け、また市町村レベルでは、ニーズの量から専任の相談員配置が困難だというように相談事業や生活支援事業の聴覚障害者情報提供施設の事業を加えて地域活動支援センター、放課後等デイサービス等といった障害者総合福祉法や児童福祉法で規定している障害福祉サービス事業と柔軟に組み合わせたものを障害福祉圏域毎に設立の必要があります。これについてどのようにお考えでしょうか。
金田 峰生 | 必要なサービスを身近で受けられる、聴覚障害の生活を支援するセンターの福祉圏域ごとの設立を、国も財政支援を行ってすすめるべき。 |
鴻池 祥肇 | |
湊 侑子 |
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松本 なみほ | |
辻 泰弘 | 9.地域の特性がある中で、国の一律の押し付けではなく、ニーズを踏まえた自治体毎の創意工夫が求められる。県レベルでの複数個所の設立なども検討に値する。 |
清水 貴之 |
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下村 英里子 |
10.聴覚障害者に特化した介護福祉サービスについて
聴覚障害があるがゆえに社会の無理解やさまざまな差別にさらされてきた方が大勢います。障害のある人自身が高齢期を迎えたときに、手話などによるコミュニケーションが保障された環境の中で安心して暮らせるようにするため、各障害(視覚、聴覚、知的障害等)に特化した特別養護老人ホームが必要です。また、障害特性に応じたグループホーム、ケアホーム等が整備され、安心して必要な支援が受けられる体制が必要です。これについてどのようにお考えでしょうか。
金田 峰生 | 各障害に特化した特養ホームをはじめ、障害者が将来も安心して住める入所施設やグループホームを公的責任で計画的に増やすとともに、入所施設でも外部サービスを使えるように改善をはかる必要がある。 |
鴻池 祥肇 | |
湊 侑子 |
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松本 なみほ | |
辻 泰弘 | 10.聴覚障害者が安心して地域で自立した生活ができるよう、しくみづくりや基盤整備が必要である。直接的には、設置主体の判断となるが、国としての基本的な支援は行うべき。 |
清水 貴之 |
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下村 英里子 |
11.その他
聴覚障害者福祉施策について、特に取組みたいとされていることをお聞かせください。
金田 峰生 | (記載無し) |
鴻池 祥肇 | |
湊 侑子 |
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松本 なみほ | |
辻 泰弘 | 11.民主党政権下で成立した「改正障害者基本法」を踏まえ、手話も「言語」であることを具体的な制度面で担保していくことが必要である。そのことにより聴覚障害者の社会参加の促進を積極的に図るべき。 |
清水 貴之 |
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下村 英里子 |
12.盲ろう者の移動とコミュニケーション支援について(追加質問)
1) 現在の盲ろう者向け通訳・介助員公費派遣制度では、通勤・通学での利用が認められていません。このため、他の障害者が利用できるサービスさえも利用できない状況があります。公費派遣の利用範囲を拡大し、既存のサービスを盲ろう者も他の障害者と同等に受ける権利を保障していただきたいと思います。
1.通所施設への単独通所ができないため、ボランティアをお願している。ボランティアへの保障は何もない。ボランティアが確保できないことが多く、通所できないで自宅にいることが多い。
2.訓練施設に入り、生活訓練や点字訓練を行いたい。コミュニケーションの支援ができる職員がいないため、入所は断られた。
3.訓練施設に通うためのガイド、訓練時のコミュニケーション支援は、公費では認められなかった。
2) 現在盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業は県事業として実施されております。兵庫県内の盲ろう者が利用できる唯一の公的事業です。盲ろう者に移動とコミュニケーションの支援を行っています。しかし、上記に記載したように他の障害者と比べて非常に福祉が遅れております。盲ろう者は行きたい時に、行きたい所へ行く自由も奪われています。これは差別です。このような盲ろう者の状況についてどのようにお考えでしょうか?
金田 峰生 | 盲ろう者が、行きたいときに行きたい場所へ出かけられない状態は、障害者差別禁止条約に反するもの。既存事業が利用できるようにすることはもちろん、通訳・介助員派遣事業など公的事業を国と自治体の責任で行い、予算を抜本的に拡充し、通訳者・介助員の養成・身分保障をはかるべき。 |
鴻池 祥肇 | |
湊 侑子 |
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松本 なみほ | |
辻 泰弘 | 12.民主党の障がい者施策の根幹は、障がいのあるひとのニーズを踏まえ、障害種別や程度、年齢、性別を問わず、難病患者も含めて、安心して地域で自立した生活ができるよう、しくみづくりや基盤整備、人材育成に取り組むということである。盲ろう者の移動とコミュニケーション支援についても、様々な制約を克服し、段階的・計画的に目に見える前進を図るべき。 |
清水 貴之 |
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下村 英里子 |