旧優生保護法訴訟神戸地裁判決を受けての声明公益社団法人兵庫県聴覚障害者協会
旧優生保護法訴訟神戸地裁判決を受けての声明
8月3日、神戸地方裁判所は、旧優生保護法に基づいて実施された強制不妊・中絶手術に関する国家賠償請求訴訟において、原告らの請求を棄却するという判決を言い渡した。
今回の判決は、旧優生保護法が障害者に対する合理的根拠のない差別であり、子を産み育てる自己決定権を保障する憲法13条、不合理な差別的な取扱いを禁止する憲法14条、家族生活における個人の尊厳と両性の平等に関する憲法24条に違反であることを示した。また、国会議員が速やかに立法措置を講じなかったことによる立法不作為を違法としたにもかかわらず、除斥期間の理由により原告らの賠償請求権は消滅したとして、請求を棄却したことを私たちは到底受け入れられるものではない。
旧優生保護法下における強制不妊・中絶手術は、明らかに国策による人権侵害であり、現在も優生思想が脈々と息づいており、障害者に対する偏見や差別が根深く残っている。
そのため20年が経過する前に国に対して賠償を請求することは非常に困難であったことは明らかであり、偏見、差別などの実情を十分考慮したうえで、原告への救済の道を開いていくことこそ司法が果たすべき役割ではないか。
被害者は高齢であり、またすでに亡くなられた人もおられる。当法人は一日も早く、人としての尊厳と被害からの回復ができるよう、全国の仲間に引き続き支援をお願いするとともに、不当判決を下された原告らの上訴を支援し、旧優生保護法による被害者の権利回復に向けて取り組んでいく決意である。
2021年8月10日
公益社団法人兵庫県聴覚障害者協会